記憶術の歴史
ここでは記憶術の歴史について説明しています。当方の記憶術HPのトップにも要点としてご紹介していますが、記憶術は2500年くらいの歴史があります。実は長い歴史がありますが、意外とこのことが知られていません。
詳細は、各ページに書きましたが、ここではダイジェストで記憶術の歴史の流れをまとめてみましょう。
記憶術の発祥は古代ギリシア
発祥はギリシア時代になります。シモニデスが記憶術を発明し、同じ頃、ギリシアではメトロドロスが活躍します。
ローマ時代
その後400年くらいしてからローマではキケロが現れて記憶術を広めます。キケロのローマ時代には、記憶術の三大古典書が記されます。
11~13世紀:スコラ哲学時代
その後しばらく記憶術の歴史は空白を迎えますが、11世紀頃からキリスト教修道士の世界で、宗教的な教え、道徳観の暗記のために記憶術が積極的に使用されます。スコラ哲学の中での記憶術です。
この当時、ポンコンパーニョや有名なトマス・アクィナスが登場します。トマス・アクィナスの方式は、ペトラルカ、ラゴーネといった人々に受け継がれていきます。
14~15世紀:ルネサンス期
やがてルネサンスの時代を迎え、記憶術はオカルトの世界で使用されていきます。ルネサンスの頃、印刷技術が登場します。
このため修道士の世界で一子相伝として継承されてきたキリスト教的世界観をわざわざ暗記する必要がなくなり、次第に聖書そのものを読むようになり、修道士の間では記憶術の使用が減っていきました。
オカルトとしての記憶術
代わりに新プラトン主義、ヘルメス主義、カバラといいた神秘学の世界で記憶術が使用されます。この当時の代表的な記憶術家には、ジュリオ・カミッロ、ラモン・ルル、ジョルダーノ・ブルーノ、ロバート・フラッドといった隠秘哲学の人々によって使用されていきます。
成功術としての記憶術
ルネサンス期には、世俗的な記憶術の萌芽も見られました。現代での成功術としての記憶術がルネサンス期に登場しています。ペトゥルスが元祖になります。
学問的な記憶術
さらに古典記憶術とスコラ哲学記憶術を包括したものも登場します。ロンベルヒまた、フランシス・ベーコンやデカルトもこの系列に入ります。
17世紀:記憶術の大衆化
ルネサンス期が終わって17世紀に入ってからは記憶術の大衆化が起こります。別の言い方をすれば、「成功術」としての記憶術が台頭してきます。
17世紀以降に活躍した記憶術家はかなり多く、ウィンケルマン、リチャード・グレー、グレガー・ファイネーグらがいます。
19世紀:商業主義的な記憶術
さらに19世紀に入ると世界各地でも記憶術が流行し、商業的にも使用され出します。
この当時は、ベニウィスキィ、フランシス・フォーベル・グーロー、カール・オットー・レーベントロー、その他大勢の記憶術家が活躍します。
日本の記憶術の歴史
日本でも19世紀の明治時代、記憶術が大流行します。特に明治20年代からは大流行し、妖怪博士の井上円了、
和田守菊次郎、島田伊兵衛といった面々が、日本の記憶術の元祖となっていきます。
昭和の時代に入ってからは渡辺剛彰の記憶術がブームとなります。その後現在に連なり、現代では、脳トレや、より使いやすい進化・工夫の施された記憶術が登場しています。たとえば、吉永賢一(東大記憶法)といったノウハウ総合型として登場もしています。
記憶術は進化し続けている
記憶術は「秘密技術」としての側面があります。記憶術の原理原則はほぼ公開されていますが、
これらを自在に使いこなす工夫は各人や専門家が自家薬籠中の物のように秘伝として使いこなしてもいます。
現代記憶術においても、使い方やノウハウに秘密があったりして、こうしたものがマニュアルになって販売されているケースもあります。
記憶術は今後も様々なものとタイアップしながら進化していく可能性があります。