記憶術を活かす

「イメージ」と「場(記憶の場)」を使うのが記憶術

記憶術は「イメージ」と「場(記憶する場)」を用いた暗記の技術になります。
このことは記憶術の基本でもあります。
記憶術の三大古典書(「ヘレンニウスへ」「弁論家について」「弁論術教程」)においてはシモニデスの記憶術が紹介されていますが、元祖記憶術はそもそも「イメージ」と「場」を使ったものです。したがって記憶術といえば「イメージ」と「場(記憶する場)」を使った記憶の技術ということになります。

 

この伝統は中世のヨーロッパでも引き継がれていきます。
中世のヨーロッパでは神秘学とも絡めて各種の記憶術のテクニックも考案されています。
しかしながら記憶術のテクニックそのものは、やっぱり「イメージ」と「場(記憶する場)」を使った方法だったりします。

 

たとえばスコラ哲学が隆盛した時代、トマス・アクティナスは、宗教的な教えや倫理道徳観を「イメージ」と「場」を使って心に刻み込ませる方法(記憶術)を使っていました。

 

当時は印刷物が無かったため、全て暗記・記憶によって覚えていく術しかありません。そのため「教育」においては「暗記すること」「憶えること」が大変重要視され、暗記の手助けとして記憶術が使われていたくらいです。現代のように「紙に記す」ということが容易ではなかったということです。

 

そうして中世では、主にキリスト教神学の世界で記憶術が使われたということになります。イタリアの哲学者でありドミニコ会の修道士でもあり、コペルニクスの地動説を支持し処刑されたものの神学の世界では著名なジョルダーノ・ブルーノも記憶術を使いこなしていた大家だったくらいです。

 

倫理道徳をしっかりと記憶することで、人格も形成されることから、中世の時代は宗教や神学、教育といった分野において「イメージ」と「場」を使った記憶術が使用されていたものです。

 

記憶の宮殿(場)の創意や工夫はいつの時代でも重要

ルネサンスの時代になり活版印刷技術が盛んになり印刷技術が普及しはじめると、記憶術に依存することが減ってきたものです。倫理道徳をあえて記憶術で暗記する必要も無くなったため、次第に記憶術の用途も減ってきたという塩梅です。

 

ルネサンスの活版印刷の技術が普及し、記憶を脳に依存する時代から紙に記すことにシフトするようになってから、記憶術の使い道にも変化が出てきました。しかしながら記憶術の用途が変わったとはいえ、記憶術そのものが「イメージ」と「場」を使うやり方であること自体は変わりありませんでした。

 

この流れは今でも変わらず、現代でも記憶術といえば「イメージ」と「場」を使った方法が基本であり、また記憶術の真髄にもなっています。

 

ただし現代の記憶術は「ある部分」に工夫や創意がみられます。その「ある部分」というのが「記憶の宮殿」になります。つまり「記憶する場」に工夫や創意がみられるわけなのですね。

 

また記憶術を使いこなす秘訣とは、まさに「記憶の宮殿」になってくるわけです。
こうした「記憶の宮殿」の工夫こそ、現代記憶術のキモに相当します。
また、このキモを有料で販売している記憶術家もいらっしゃるわけですね。
ちなみに現代の資格試験や高校・大学受験では、こちらの記憶術がおすすめなのは、まさに「記憶の宮殿」の創意と工夫が優れているからだったりします。

 

資質によって「イメージ」と「場」の使いこなしに違いが出る

記憶術は、覚えたいことや暗記したいことをイメージ化します。
そして、「何らかのもの」と結びつけて記憶していくようにします。
この「何らかのもの」こそ「場」となります。
「記憶の宮殿」もそうですね。

 

記憶する際に使用する「場」はいろいろな呼び方をされています。
先述したことと重なる言葉もありますが、「記憶の宮殿」「目当」「座」「アンカー」など、いろいろな呼び方をされています。

 

名称はどうあれ、記憶術は「イメージ」と「場」を使って覚えていく記憶の技法ということになります。

 

記憶術とは「イメージ」と「場(記憶の場)」を使うやり方であることは、いつの時代でも変わりありませんし、基本になっています。

 

したがって、いかにして脳内で映像を描くことができるかといった「脳内ビジュアライジング能力」の有無、または優劣が、記憶術を使いこなす上では必須になってきます。これも記憶術を使いこなすキモであり姫津になります。

 

あなた自身にもしも映像力があれば、記憶術を使いこなすことはできるようになるでしょう。
その資質のチェックは、こちらで分かります

 

もしも脳内映像力が弱い方であるなら脳トレで伸ばすことができます。要は「イメージ能力」だからです。イメージ能力があり、これが優れていれば、誰でも記憶術を使いこなすことができるようになります。また「イメージ能力」が弱い方は、脳トレで伸ばすことができます。しかし「イメージ能力」が苦手な方は記憶術の習得に時間がかかることは承知しておきましょう。

 

「イメージ」と「場」を使った記憶術は、確かに効果があります。しかしこれを習得できるできない、あるいは習得の速い遅いは、どうしても差となって出て参ります。これはよくよく承知されておいたほうがよろしいかと思います。