記憶術は「記憶の宮殿」と「イメージ」を使った暗記の技術

記憶術は「記憶の宮殿」と「イメージ」を使った暗記の技術

記憶術は「記憶の宮殿」「イメージ」を用いた暗記の技術になります。

このことは記憶術の誕生からそうです。記憶術を考案したシモニデスの「座の方法」はまさに「記憶の宮殿」と「イメージ」を使った方法です。

もっとも厳密にいえば「イメージ型記憶術」は「記憶の宮殿」と「イメージ」を使った記憶の技術ということになります。

記憶術は記憶の宮殿を使って覚える

記憶術(イメージ型記憶術)は、覚えたいことをイメージ化して覚えようとします。このイメージ化の際に、「何らかのもの」と結びつけて記憶します。

この「何らかのもの」こそ「記憶の宮殿」ですね。ちなみに「記憶の宮殿」は様々なモノが使われます。たとえば

・座
・身体
・指
・時計
・部屋
・道
・建物
・仮想空間
・グーグルマップ

こうした諸々が「記憶の宮殿」として使われます。

で、覚えたいことを「記憶の宮殿」と絡めてイメージングします。頭の中で映像を描くわけですね。

このとき長期記憶を司る「海馬」を動かすために、感情を司る「扁桃体」を刺激して、長期記憶になるようにするのが記憶術の仕組みであり理論、原理になります。

記憶術はイメージを描いて覚える

記憶術は結局「イメージング能力」が重要になります。脳内に映像を描くことができるかといった「脳内ビジュアライジング能力」の有無または優劣が、記憶術を使いこなす上では必須になってきます。

記憶術におけるイメージング(映像化)のポイントは、

  • 視覚的に刺激のある映像(ビックリ、ショック、興奮、笑える、エロいなど)
  • 聴覚的に刺激のある映像(大音量、爆発、絶叫、美しい音など)
  • 感覚的に刺激のある映像(痛い、冷たい、くすぐったい、気持ちいいなど)

といった映像を描くことになります。つまり「感情を刺激する」イメージを頭の中に描くことです。

別の言い方をすれば視覚、聴覚、身体感覚、味覚、臭覚といった「五感を刺激する映像を描く」ということになります。

あなた自身にもしも脳内映像力があれば、記憶術を使いこなすことはできるようになります。この資質のチェックは、こちらの記事で分かります。
記憶術は使えないのか?~記憶術への適性チェック

もしも脳内映像力が弱い方であるなら「脳トレ」で伸ばすことができます。要は「イメージ能力」です。イメージ能力があり、これが優れていれば、誰でも記憶術を使いこなすことができるようになります。

昔の記憶術も記憶の宮殿とイメージを使っていた

このように記憶術では「記憶の宮殿」と「イメージ能力」が大切です。

記憶術は、この2つの要素で成り立っていることは、記憶術の元祖であるシモニニデスの「ローマンルーム法」に限らず、その後の記憶術でも同じでした。

中世の記憶術

これはその後の中世の時代も同じです。中世のヨーロッパでは、キリスト教神学や神秘学の暗記のために各種の記憶術のテクニックも考案されています。

しかしながら記憶術のテクニックそのものは、やはり「記憶の宮殿」と「イメージ」を使った方法だったりします。

トマス・アクィナスの記憶術

たとえばスコラ哲学が隆盛した時代、トマス・アクィナスは宗教の教えや倫理道徳観を「場」と「イメージ」を使って心に刻み込ませる方法(記憶術)を使っていました。
スコラ哲学と中世の記憶術【11~13世紀】

当時は印刷物が無かったため、全て暗記・記憶によって覚えていくことをしていました。そのため「教育」においては「暗記すること」が大変重要視され、暗記の手助けとして記憶術が使われていたくらいです。

現代のように「印刷技術」「出版技術」が無かったからですね。そのため中世のキリスト教神学では記憶術が使われたということになります。

ジョルダーノ・ブルーノの記憶術

イタリアの哲学者でありドミニコ会の修道士でもあり、コペルニクスの地動説を支持し処刑されたものの神学の世界では著名なジョルダーノ・ブルーノも記憶術を使いこなしていた大家だったくらいです。
カミッロの「記憶の劇場」オカルト・魔術的な記憶術【16世紀】

倫理道徳をしっかりと記憶することで人格も形成されることから、中世の時代は宗教や神学、教育といった分野において「記憶の宮殿」と「イメージ」を使った記憶術が使用されていたものです。

ルネサンスの記憶術

ルネサンスの時代になり活版印刷技術が盛んになり印刷技術が普及しはじめると、記憶術に依存することが減ってきたものです。

倫理道徳をあえて記憶術で暗記する必要も無くなったため、次第に記憶術の用途も減ってきたという塩梅です。

ルネサンスの活版印刷の技術が普及し、記憶を脳に依存する時代から紙に記すことにシフトするようになってから、記憶術の使い道にも変化が出てきました。

しかしながら記憶術の用途が変わったとはいえ、記憶術そのものが「イメージ」と「場」を使うやり方であること自体は変わりありませんでした。

新しい記憶術の登場

記憶術の歴史について説明しましたが、いつの時代でも記憶術は「記憶の宮殿」と「イメージ」を使った方法です。また記憶術の真髄にもなっています。

ところが現代の記憶術では、今までの歴史とは違う新しい記憶術も誕生しています。

その一つが「ユダヤ式記憶術」です。ユダヤ式記憶術は、従来の「記憶の宮殿」と「イメージ」を使う記憶術ではありません。まったく異なるシステムから成る新しい現代記憶術です。

こちらでレビューをしていますので、くわしいことはこちらの記事をご覧ください。
ユダヤ式記憶術のレビュー・効果・ネタバレ~実際に購入したから言えること

また記憶術を使うための基礎能力を高める「脳トレ」を内包した記憶術も多くなっています。

「イメージ能力」が弱い方は「脳トレ」を含んだ記憶術教材を活用することがおすすめになります。

記憶術の多くは「記憶の宮殿」と「イメージ」を使っていますので、イメージング能力は必須になってまいります。