変換法記憶術~変換・分解・置換・外連想の4つのテクニックからなる方法

変換記憶術とは?

記憶術のテクニックの一つに変換記憶術という方法があります。

変換記憶術とは、暗記する事項や対象を別の何か具体的でわかりやすい物事に変換して記憶するテクニックになります。

別名「変換記憶法」とも呼ばれます。あるいは単に「変換力」ともいいます。
変換力【記憶術のやり方基本】~文章・数字・専門用語・概念を覚える

変換記憶術は記憶術の基礎的なスキルにもなっています。「ペグ法」も変換記憶術の一つになります。

また変換記憶術は「場所法」と一緒に使われ、場所法を補完する重要なテクニックになっています。場所法では必須の記憶術になります。

場所法~イメージと空間を利用した伝統的な記憶術

変換記憶術の4つのテクニック

変換記憶術を使いこなすためには、「4種類」のテクニックを知る必要があります。これら4つの暗記テクニックを使えるようになると、変換記憶術を自在に使いこなすことができます。

では、4種類のテクニックとな何でしょうか。
それは、
・変換法
・分解法
・置換法
・外連想法
の4つにになります。以下、それぞれについて説明します。

変換法

変換法は、抽象的な物事や専門用語などを、簡単な物事に置き換えて覚えるテクニックになります。

変換法は、変換記憶術の中でも基本となり、最も頻繁に使われるテクニックです。

たとえば「試験」という言葉は抽象性のある言葉ですが、「試験」を「答案用紙」と具体的な物事に置き換えると、わかりやすくなります(覚えやすくなります)。他にも実践的な事例をあげると、

用語 変換法で変換
法律制定 六法全書(法律)が晴天の日に置かれている(制定)
憲法改正 拳法の達人(憲法)が金返せ!(改正)と言っている
弾劾裁判所設置 ピストルの弾丸(弾劾)が変身して裁判所を立てた(設置)
ハロゲン化水素 頭のハゲた源(ハロゲン)さんが、水槽(水素)に入っている
硝酸 表彰状3枚(硝酸)
広田弘毅 拾った子ども(広田)が道をこう聞いている(弘毅)

このように抽象的な物事や覚えにくい言葉、具体性を帯びない物事はイメージが難しくなりますが、いったんわかりやすくい具体的な物事に変換して、それを記憶術で覚えようとする下ごしらえになります。

要するに、視覚化(ビジュアル化)して覚えやすくするのが「変換法」です。「具体的変換法」ともいいます。

「変換法」は、抽象的な物事や専門用語のように、具体的な事物を持たないことを覚える際に、大変役立つテクニックです。

逆にいえば、具体的な物事に置き換えることで、抽象的なことを記憶術で覚えやすくなります。ですので「変換法」は、頻繁に使用しますし、記憶術の中でも大変重要なテクニックになります。

なお原理的には記憶術の基礎スキルである「変換力」になります。
変換力【記憶術のやり方基本】~文章・数字・専門用語・概念を覚える

あと補足になりますが、取り上げた事例に関しては、実際は変換法で変換しなくても、「語呂合わせ」で覚えてしまうこともできます。あるいは記憶術を使わなくても覚えることができる言葉もあります。

記憶術は使い分けが大事になりますが、テクニックとして変換記憶術の変換法は知っていいたほうがよいということですね。

分解法

分解法は、暗記すべき対象が「長い文章」であるとか「一度に記憶することが難しそうな物事」を覚える際に使用するテクニックです。暗記する対象を「分解」して覚えるテクニックです。

分解法を活用するシーンは、たとえば憲法の法令文のように文章を丸ごと暗記する必要のある場合です。法律の条文を丸暗記する際、分解法で分解すると暗記の手助けになります。

分解法に特化した記憶術もあって、たとえばこちらの記憶術は、まさに分解法記憶術になります。分解法記憶術で論文対策もできるってことですね。

分解法の記憶テクニックは、法律系の資格試験では活用すること機会が多くなります。また抽象的で分かりにくい文章や言葉を暗記する際も分解法の記憶術が役立ちます。

置換法

置換法は、変換法の一種になります。が、変換法と違うのは、置換法ではあらかじめ変換のパターンを決めておきます。たとえば何らかの物事を、

・五十音
・一覧表(ペグ法、PAO法)
・場所(場所法)
・部屋(記憶の宮殿)
・数字(数字変換法)

といったことに、あらかじめ何か具体的な物事を設定して、イメージで覚えやすくするやり方になります。

たとえば「五十音」なら「あ」に「赤ちゃん」を設定。場所法なら「記憶の宮殿」。数字なら「ペグ法」。

このようにあらかじめ「ある物事」の変換パターンを決めておきます。これが置換法です。変換法の発展系ですね。

置換法は歴史もあります。メトロドロス、ポンコンパーニョ、ウィンケルマンらも置換の仕方を開発しています。数字、文字、あるいは何らかのものに置換することで、記憶の手助けをしていきます。

記憶力世界選手権に出場する人やチャンピオンは、独自の変換方式を開発し、効率の良い記憶を試みています。置換法は、覚えにくい物事を効率よく覚える「変換法」の一種になり、実は重要なテクニックです。

外連想法

外連想法とは、まったく関係の無いことを連想して、その無関係な物事を手がかりにして思い出すテクニックです。

変換法の4つのテクニックのうちで、最も高度になります。

たとえば「船」に対して、「ネコ」と連想します。突飛な連想になりますが、この突飛な連想を使って思い出すのが「外連想法」になります。

外連想法を、実際どのようにして記憶術に使っていくかといえば、要するに「変換法」「置換法」「分解法」でもうまくできないときに、最後の手段として使うのが「外連想法」ということになります。

つまり、元の言葉に対して全く関係の無い具体的な事物を設定して変換するテクニックということになります。

事例をあげてみましょう。たとえば、

・憲法 ⇒ サンマ
・行政代執行 ⇒ いぬ
・平沼騏一郎 ⇒ キリン

といった感じです。
外連想法は、いわば「頻出用語」をあらかじめ設定しておくテクニックになります。

しかし外連想法は高度なテクニックです。レベルの高い記憶術になるため、基本的な記憶術の使い方ができていないと使うのが難しくなります。

変換記憶術の歴史

ちなみに変換記憶術は、歴史的に見れば古代ギリシアの時代に、メトロドロスが使用しています。メトロドロスは緻密な変換法を使っていたことは「ヘレンニウスへ」に記載されています。しかし実際どういった変換記憶術を使用していたかは不明です。
メトロドロスの星座・占星術的記憶術【BC100年】

また中世の頃、ポンコンパーニョが「想像上のアルファベット」としてシンプルな変換表を用いて変換記憶術を使用しています。
中世の記憶術はスコラ哲学・学問的【11~15世紀】

変換記憶術が盛んになるのは、17世紀のウィンケルマンの時代からです。ウィンケルマンは「数字変換法」を世界で初めて生み出した人になります。
ウィンケルマン~ペグ法・数字変換法記憶術の創始者【17世紀】

またライプニッツも変換記憶術を研究していました。

さらには、リチャード・グレーが文字変換法を考え出します。
リチャード・グレー~文字変換法記憶術の創始者【18世紀】

こうして変換記憶術のやり方や種類は多くなり、現代でも新しい変換記憶術が開発されています。現代ではもっと工夫が凝らされた変換記憶術が開発されています。たとえばペグ法を進化させた「PAOシステム」は、その代表になります。

まとめ

このように変換記憶術とは、暗記する対象を何かに置き換えて覚えていく記憶術です。
変換法、分解法、置換法、外連想法といった記憶のテクニックが使えるようになると、変換法を使いこなせるようになります。

ですが変換記憶術も基本は同じです。基礎結合法連想結合法がマスターできていることが前提です。

記憶術の基本ができていれば、どんな高度な記憶術を使用することもできます。