場所法とは記憶術における代表的な方法

「場所法」という記憶術をご存じでしょうか。記憶術の方法について知っている方なら、「場所法」のことは聞いたことがあるはずです。

 

場所法は、記憶術の中でも最も利用され、なおかつ一番効果の高い記憶術の方法になります。「記憶術の方法」というよりも、もはや「システム」でしょう。

 

場所法は最も歴史が古く、古典的な記憶術にもなります。
シモニデスが開発し、キケロ、クィンティリアヌスらが推奨し、また作者不明ですが「ヘレンニウスへ」でも詳しく解説されている古典的な方法です。
「座の方法」「ローマンルーム法」「ロキ・システム」とも呼ばれています。

 

記憶術の歴史はまさに「場所法」といってもよいでしょう。
古典的記憶術こそが「場所法」であり、現代でも進化し続けているのが「場所法」です。

 

記憶術は、「場所法に始まって場所法で終わる」といってもよいかもしれません。
それくらい定番かつ有名なのが「場所法」になります。

 

 

 

「場所法」には様々な別名が多く存在する

「場所法」記憶術は、歴史が長いだけあって、様々な名称でも呼ばれています。

 

場所法と同じ方法でありながら別の名称となっているものの一例を挙げてみますと、

  • シモニデス・・・座の方法(ローマンルーム法、ロキ・システム)/元祖・記憶術
  • メトロドロス・・・黄道十二星座・占星術的記憶術
  • ジュリオ・カミッロ・・・記憶の劇場
  • ラモン・ルル・・・ルルの輪
  • ジョルダーノ・ブルーノ・・・記憶の輪
  • ロバート・フラッド・・・記憶の劇場
  • ヤコブス・プブリキウス・・・架空の場
  • ウィンケルマン・・・ペグ法(かけくぎ法)
  • 井上円了・・・心像法、寓物法(ぐうぶつほう)
  • 世界記憶力選手権・・・記憶術の宮殿、ジャーニー法

このようになっています。
場所法は、歴史のある伝統的なテクニックだけに、また多くの人に改良され、現在でも改良が続けられています。
世界記憶力選手権や、全米記憶力チャンピオンらが使用している記憶術も「場所法」がメインであり、「場所法」は記憶術の中でもっとも有名でもっとも使われているテクニックになります。

 

 

「場所法」は空間に配置して暗記する記憶術

空間を利用することから「場所法」と命名されているわけですね。この「場所」は実際にある空間(場所)の利用に限らず、想像の空間でも活用することができます。

 

つまり想像の空間でも場所法は記憶術に使用することができるのですね。さらに身体に配置するやり方でも使用できます。

 

場所法には亜流や似たやり方もあって、身体法、指法、時計法、部屋法、道法、建物法といった方法があります。これらは

  • 身体法…身体に配置
  • 指法…指に配置
  • 時計法…時計の文字盤に配置
  • 部屋法…自分の部屋の空間を利用
  • 建物法…建物の中にあるモノや場所を利用
  • 道法…道路沿いにある建物を利用

といったテクニックがあります。
基本的には、連想法連結法変換法といった記憶術の基本テクニックと重なります。

 

 

 

場所の原理・仕組み

さて場所法としての記憶術の原理・仕組みですが、場所法は複数の記憶術(連想結合法・基礎結合法)を駆使して構築され使用されることが実際は多く、基本的には、

  • イメージ
  • 場(空間)

この2つを使った記憶術のになります。

 

記憶術の多くは「イメージ」と「場」を使って暗記する方法であることはこちらでも解説しています。場所法もイメージを使った右脳型の記憶術になります。

 

ただし、単に右脳を使って暗記事項をイメージ化するのではなく、記憶する際に「空間」と関連づけて憶えていく点に大きな特徴があります。これが場所法の原理であり仕組みになります。

 

イメージを連続して暗記していく記憶術は「連想法」と呼ばれるやり方です。場所法は連想法を応用した方法になります。連想イメージを数珠つなぎにしていくのではなく、空間(場所)を結びつけて暗記するやり方になります。

 

この「空間的な場所」と、記憶する対象物を関連づけ暗記するやり方こそ「場所法」になります。シモニデスの時代から、原理は変わっていません。変わっている点や工夫が施されているのは「記憶の宮殿」です。

 

 

場所法の具体的なやり方(事例)

それでは、具体的に「場所法」のやり方を実演してみましょう。
先には、場所法とは、「イメージ」と「場(空間)」を利用すると書きましたが、記憶術として具体的に使う場合は、

  • 記憶する物事
  • 記憶する場(自宅など)

「連想結合法」「基礎結合法」を多用して「イメージ」で憶えていくようにします。

 

やり方としては、

  1. 「記憶する物事」をイメージする
  2. 「記憶する物事」を、自宅などの「記憶する場」に、「連想結合法」「基礎結合法」でイメージング

こうなります。

 

たとえば、「記憶する物事」を

  • ハンバーガー
  • ラーメン
  • 歯ブラシ
  • ポテトチップス

とします。

 

次に、「記憶する場」として「自宅」とした場合、

  • 玄関
  • 廊下
  • 台所
  • テレビ
  • リビング

このように「記憶の場(空間)」を用意しておきます。

 

この「場」に、「記憶する物事」を、自宅の部屋や置いてある場所や物に「連想法」でイメージングをしていきます。たとえば、

  • 「ハンバーガー」が、玄関をぶっ潰した
  • 「靴」が、廊下に突き刺さっている
  • 「ラーメン」を、台所でひっくり返した
  • 「歯ブラシ」が、テレビに突き刺さっている
  • 「ポテトチップス」が、リビングに大量に散らかっている

といった具合です。
イメージの力のある人なら、一回、イメージしただけで憶えることができると思います。

 

 

 

受験や資格試験に場所法を活かす

しかし、これだけを見ても、人によっては「なーんだ」と落胆してしまうかもしれません。
というのも「受験にどうやって使うの?」「資格試験の暗記に使えないのでは?」と思うかもしれないからです。

 

ところが、上記の事例は、あくまでも説明のための事例です。
実際に受験や資格試験で使う場合は、応用を利かせます。

 

まず、憶えることを「整理」します。
暗記するものを整理し準備ができたら、「場所法」を使って憶えていきます。

 

こうしたステップを踏んでいきます。
いきなり「憶える」のではなく、憶えるための情報を整理するわけですね。
憶えるべき事項を一覧や表にして、憶えるための準備と整理をします。
実は、記憶術では、こうした下準備が必要になってきます。

 

また、場所法を使うときに、記憶する場をどう設けるかが、ノウハウにもなっています。たとえば、世界記憶力選手権に出場する選手クラスになりますと、独自の「記憶の宮殿」などを準備しています。記憶する場をどう設け、どう活用するかが記憶術を使うキモの一つでもあったりします。

 

こうしたテクニックやノウハウが、記憶術のキモにもなっています。
こちらのユダヤ式記憶術は、まさに記憶の宮殿のキモがノウハウとして販売されています。

ユダヤ式記憶術

 

 

イメージで憶える記憶のテクニックこそ「場所法」

結局、場所法は暗記したい事項を現実でも空想でも空間(場所)に配置して覚える記憶術ということになります。

 

人間の記憶は、文字や言葉といった音韻よりも、イメージで覚えていることが多く、例えば知人や誰かの家に行った場合、その空間や配置、モノを案外憶えています。

 

もちろん人によっては音韻をより強く記憶している方もいらっしゃいますが、多くは映像やイメージを人は暗記しやすい傾向があります。

 

この人間の記憶の特徴を踏まえて活かした記憶術が「場所法」になります。場所法は空間をフルに活用して暗記していき、長期記憶が可能なメリットもあります。ですので、いったん憶えたことは滅多なことで忘れないというのがあります。

 

筆者も実際、今から数十年前に場所法で生物の科目を憶えましたが、空間を思い浮かべるだけで暗記した事項を思い出すことができました。それくらい長期記憶が可能なのが「場所法」です。

 

 

場所法は長期記憶が可能な方法

場所法が何故、このように長期記憶が可能なのかといえば、脳の大脳辺縁系にある海馬と関連があるからと言われているからです。

 

海馬付近には記憶に欠かせないニューロンが発達していて、海馬が刺激されることで長期記憶が可能になるともいわれています。

 

場所法は、イメージと空間を利用しますので海馬を使いやすい、あるいは刺激しやすいのかもしれません。脳内生理学的なことははっきりしなくても、論より証拠、場所法は記憶術の中でも暗記効果の高いメソッドであることは間違いないでしょう。

 

興味深いことに海馬を刺激するこの場所法を使用していると、頭がよくなるという報告があります。記憶術は単なる暗記のテクニックではなく、記憶力そのものを良くする効果があることが判明したというわけですね。

 

 

記憶の世界チャンピオンは記憶の場を工夫した場所法を使っている

ちなみに記憶術のチャンピオンの多くは「場所法」を使って暗記しています。また記憶術の世界大会でのチャンピオンらは、驚異的な記憶力を発揮します。

 

しかしこれは記憶術によって地頭そのものが良くなったこともあるでしょう。記憶術の代名詞が「場所法」といっても過言ではありません

 

もっとも記憶術の達人やプロとなりますと、記憶術の方法にも工夫が見られます。一般的に知られているような単純な「場所法」は使用していません。各種の記憶術を組み合わせて、より効果的な方法として記憶術のシステムに成功しています。

 

たとえば、効率よく記憶の空間となる「場所」を用意したり、あるいは、「鈴なり式」といった記憶する空間やエリアを効果的に分割して短時間で大量のことを暗記するテクニックもあります。

 

場所法の効果をより高めるための記憶のテクニックが磨かれたり、新しく開発され、さらに効果の高い記憶術へと進化もしています。

 

記憶術の進化のキモは「記憶の宮殿」になります。記憶する「場所」ですね。これに工夫や改良が見られます。そして、この工夫や改良こそが、スピーディ効率よく記憶するテクニックの「核」にもなっています。

 

こうした最新の記憶術の中身は、分からないことが多いものです。しかし記憶術は、受験や資格試験にはパワフルな助っ人ツールとなるノウハウになります。もし、あなたが今、何かを大量に暗記する必要性に迫られているなら、記憶術は必ず役立ちます。

 

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