ウィンケルマンの記憶術

紀元前のギリシアのシモニデスやローマ時代のキケロ、クィンティリアヌスらによって作られ整理された記憶術は、その後スコラ哲学化したりヘルメス主義といったオカルトにも変遷しましたが、かなりの年代を経て再び、大衆が使用する「記憶のテクニック」として登場します。

 

きかっけは世界初の記憶術本を出したペトゥルスですが、その後、ドイツにウィンケルマン(Winckelmann)とういう記憶術の専門家が登場します。

 

ウィンケルマンは、現在で言うところの「「数字変換法」」という記憶術を開発しています。また有名な「ペグ法」の開発者でもあります。

 

「数字変換法」は、現代では一般的な記憶術になっています。が、当時としては斬新な記憶術でありました。なぜなら、それまでの記憶術はシモニデスの方法に見られるように全て「イメージ」と「場」を使った方法だったからです。

 

もっともスコラ哲学時代やヘルメス主義時代にも、変換法記憶術は出ていましたが、一般的ではありませんでした。記憶術の主流といえば「イメージ」と「場」を使った「場所法」としての方法でした。

 

しかし、ウィンケルマンは、新しい記憶術の方法を打ち出します。
それが「数字変換法」と「ペグ法」呼ばれる記憶術です。

 

数字変換法は、こちらでも紹介していますが、アルファベットと数字との関連性を作って、暗記対象を記憶する記憶術になります。

 

ウィンケルマンの記憶術は「記憶のシステム」と呼ばれています。

 

ウィンケルマンの数字変換法

ウィンケルマンは1648年に、スタニスロースという偽名を使って、彼独自の記憶術をドイル新聞のマールブルクで発表します。

 

ウィンケルマンの数字変換法は、その後1820年、フランスのエーメらによって改良も加えられていきます。

 

しかし数字変換法としての記憶術を世の中に出したのはウィンケルマンになります。
ウィンケルマンには次のような変換表を出しました。

 

0 = S, Z, soft(柔らかいもの)
1 = T, D
2 = N
3 = M
4 = R
5 = L
6 = J, sh, ch, dg
7 = K, Q, hard(固い缶のようなもの)
8 = F,V
9 = P,B

 

このように数字とアルファベットを対応させたものです。使い方は上記の音(スペル)が先頭に来る単語が、数字を示すというものです。したがって意味のある言葉や文章を使って、数字を暗記することができます。

 

歴史の年号や、電話番号、生年月日といった数字を暗記するための記憶術ですね。この方法を開発したのがウィンケルマンということです。

 

この「記憶のシステム」はさらに進化していきます。

 

 

こういった一覧表化されて、あらかじ「単語」も用意されていきます。
数字に対応した単語をあらかじめ記憶しておきます。

 

さらに100までの数字と対応した単語表も用意されていきます。

 

 

数字を憶えたいときは、これらの単語をイメージと場を使って暗記していきます。
いわば古典的記憶術を導入したやり方となってきます。

 

記憶術が一般大衆に広がっていく

ウィンケルマンは、数字変換法を独自に発見したかに見えますが、それ以前にも変換法記憶術を作った人もいます。

 

数字変換法ではありませんが、「ポンコンパーニョ」はアルファベットに変換する記憶術を作り出しています。ウィンケルマンは、おそらくこうした変換記憶術からヒントを得て、作り出したものと考えられます。

 

ウィンケルマンの記憶術と似た方法は、同時代の哲学者ライプニッツも見つけたとも言われています。ですが、ライプニッツはウィンケルマンの記憶術だけでなく、ランベルト・シュンケルやアダムブルクシウスといった人の記憶術を参照しています。

 

ちなみに「記憶術」という一般的な名称は、ウィンケルマンが命名しているといいます。ウィンケルマンはギリシア語で「ニモニックス(記憶術の義)」という名称を付与しました。
※それまでは「Memory〜」といった言い方です。

 

このように15世紀のペトゥルスが行った記憶術の大衆化は、17世紀のウィンケルマンへ連綿されて普及し、スコラ哲学やヘルメス主義・新プラトン主義とは異なる系統となっていきました。

 

こうして記憶術は一般大衆向けとして流布もされていき、古代記憶術の方法は蘇って再び世に広まっていくようになります。

 

 

ウィンケルマンの記憶術がさらに進化した現代の記憶術

 

 

 

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